「暗中模索する力」:はじめに
はじめに
社会課題には、現状の社会システムを改善すれば何とかなるものと、現状の社会システムの考え方自体を根底から変えないと何ともならないものとがある。
システム全体を根底から変えるのは大変だから、まずは、改善することで課題に対処しようとするわけだが、何ともならないどころか、かえって悪化していき、システムの機能不全が表面化してくると、根底から変えようという機運が高まってくる。
しかし、現状のシステムは、まがりなりにもちゃんと作動しているが、根底から変えたときに、新しいシステムがうまく作動するかどうかは不明である。その不安が、現状のシステムを延命させる。
一方で、システムの機能不全を感知し、新しい社会のための実践を始める人たちが出てくる。現状のシステムの中で生きる前例踏襲型の生き方と、新しい社会を模索する前人未踏型の生き方の2つの世界線が立ち現れる。
時代が進むにつれ、前例踏襲型の生き方の未来が見えなくなり、前人未踏型の生き方の未来が明るくなってくる。人々が新しい社会のほうに、より魅力を感じるようになってくると、重心移動が起こり、新しい社会が出現してくる。
コロナパンデミックで、世界中が立ち止まったとき、世界中の多くの人が、自分と同じように「この社会システムに未来はあるのだろうか?」と考えていて、コロナが明けたら、新しい社会の出現が加速してくるはずだと直観した。コロナの闇の中で、Zoomを使ったオンラインの私塾ネットワークであるYAMI大学がスタートし、さらに、橘川幸夫、平野友康、高野雅晴と一緒に一般社団法人参加型社会学会を立ち上げた。私たちは、新しい社会を参加型社会だと直観し、その出現に向けて動き出した。
私は、東日本大震災のときに、日本の社会システムの限界を感じ、何とかしたいと思ったが、何をどうしたらよいのかが分からなくてマレーシアに移住した。日本とは全く異なる、多民族、多宗教、多言語のカオスな社会には、日本のような確固たる社会システムは存在せず、それでも、日々が破綻しないで進んでいた。首都クアラルンプールで1年間、ペナン島に10年間住みながら、日本の社会システムのどこに限界を感じたのか?新しい社会とはどのようなものになればいいのか?ということを、活動しながら、考えてきた。
11年前には全く見えていなかった新しい社会のイメージが、今、形を表してきている。社会の重心移動の予感を得て、2022年6月にマレーシアから帰国した。1年間、新しい社会が出現する兆しを確かめに、日本各地を旅してまわった。
春になると、草原が一斉に緑になるように、新しい社会は同時多発的な動きによって出現するだろう。各地で同時多発的に生まれている動きは、まさにそのようなものだと思う。
新しい社会という光は、暗闇の中から生まれてくるのだろう。暗闇の中で何を考え、どう活動するのか、つまり、ダイナミックに暗中模索することが、今、必要なことなのではないか。
本書は、各地で暗中模索している人たちとの出会いから生まれた本であり、私自身が暗中模索してきた体験記であり、この本を手に取ってくれたあなたに、次のように呼びかける本である。
新しい社会の出現に向けて、一緒に暗中模索しませんか?
2023年7月 田原真人
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◆編集後記
いよいよ本日から、早起きして執筆開始。明日から徳島出張なので、3日間は執筆できませんが、ペースを保ちながら書いていきたいと思います。毎回のニュースレターの感想は、執筆の励ましになると同時に、原稿を再検討するヒントになりますので、どうぞよろしくお願いします。
執筆生活になると、ずっとそれにかかりっきりになって、書類の提出忘れたり、メッセージの返信忘れたり、ポカをやりやすくなるから気をつけねば。
「返信来ませんよ」という方は、メッセージいただけると大変助かります。
◆お知らせ
『暗中模索する力』の発行支援のクラウドファンディングを始めています。
1000部くらい刷る場合は、100万円くらいが必要になってくるので、100人以上のご支援をいただけると助かります。
https://note.com/masatotahara/n/n4a315c62d5cf
◆発行者 田原真人
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